花岡院長インタビュー|僕は、赤ちゃんの「上流」が気になった(前編)
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花岡院長インタビュー|僕は、赤ちゃんの「上流」が気になった(前編)

現在6組に1組が不妊治療を受けると言われる日本。

妊活や不妊治療の現場の医師たちは、どんな想いを持って最前線に立っているのでしょうか。

普段は語られることがない、ドクターのパーソナルストーリー、第一話(前半・後半)は、「はなおかIVFクリニック品川」の花岡正智(まさち)院長。

不妊治療に携わるようになった背景には、「大先輩の妻」の存在がありました。

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花岡正智 
2004年東邦大学医学部卒業。2006年三井記念病院産婦人科。2007年~国立成育医療センター周産期診療部レジデント、のちに臨床研究員。2011年学位取得。2008年、はなおかレディースクリニック開業、2014年はなおかIVFクリニック品川院長に就任。

家族三代の影響

──なぜ先生は医師を志したのでしょう。

答えはとてもシンプル、実は父が産婦人科医だったのです。

2〜3歳の時、父が夜中にお産のため病院に出かけて行ったことが、強い記憶として残っています。

それが刷り込まれたのでしょうね。こうあるものなんだと、ずっと見ていました。

父の病院を継ぐつもりで医学部に入ったのです。また、曽祖父、祖父(日本医師会の会長)が医師だったことも背景にありました。この理由は、意外とこの業界で多いのです。

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赤ちゃんの「上流」が気になる

──産婦人科、その中で不妊治療を選んだのはなぜでしょう。       

安全な出産をするため、お母さんと赤ちゃんのトータルケアを目指す、周産期医療を学びました。

そこでは妊娠中のお母さん、胎児、新生児のこと、さらに遺伝のことを詳しく学ぶのですが、知れば知るほど「生命」の上流、つまり、「受精卵」のことが気になったのです。

例えば、一つの卵が分かれて「一卵性の双子」ができることは知っているけれど、どの段階で分かれたのだろうと。

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一卵性の双子であっても、例えば201号室、202号室のように別れた部屋に独立している双子と、201号室に一緒にいる「危うい双子」もいます。

この場合、同じ空間にいることで互いに助け合っているとも言えるけれど、奪い合っているとも言えるのです。これは受精卵が分裂した時期に違いがあるから起きる。

双子を診察する時に、この「上流」のレベルまでわからなくてはダメだと感じたのです。

「不妊治療」の道に妻あり

また、9歳上の妻の存在も大きかった。妻が生殖医療の医師で、大先輩だったのです。いつも進路を家族に左右されていますね(笑)。

衝撃だったのは、家に帰ると受精卵の写真がいっぱいあったことです。私がこの道に関心を持ち始めた20年前、受精卵の写真を見る機会はあまりありませんでした。

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「みんなこんな形なの?」

驚いて、その写真が頭から離れなくなりました。そこで、「この道に行こう」と決めた。今から12年前のことです。

「3周目」のお母さん

──思い出に残っている患者さんはいますか。

妊娠になかなか至らずに苦労していた人が、1人目を授かった。

これは大変喜ばしいのですが、その後にこの患者さんが、2人目が欲しいといってまた来院してくれた時は、とても嬉しかったですね。

受精卵をお預かりしているので、「卵を迎えに来ました」とクリニックに来てくれたのです。

クリニックはまだ設立6年目と若いのですが、別の34歳のお母さんで「3周目」に入っている人もいます。

「3周目」というのは、2人の子供を体外受精で産んで、さらに3人目にチャレンジということなのです。

こうやって、困難を乗り越えて来てくれる患者さんたちに、私もエネルギーをもらいます。

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災害現場の希望

──2011年3月の東日本大震災で、医師として支援にも行っています。

震災直後、行ったのは宮城県の気仙沼でした。

ここは遠洋漁業の街で、船のタンクの油が燃えたりして大規模火災が起きた所です。

当時、所属していた国立病院が、「現地に行ってくれる人はいないか」と医師を募っていて、「それならば是非」ということで2週間、現地に滞在しました。

気仙沼では、産婦人科医としてお産に立ち会ったのです。子供は、こんな災害の現場でも、夜でも関係なく生まれてくるのですよね。

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今日生まれるかも知れないという女性に、「今夜はどこにいますか」と聞いたら「市の体育館に帰ります」と。 

それならば、寒いところに帰るのも可哀想だし、「入院をしてしまいましょう」ということで病院で休んでもらっていたら、その日に子供が生まれたのです。

子供が災害の現場で生まれると、立ち会った人たち、周りのみんなの大きな励みになる。

ほんの少しの間でしたが、お手伝いできたのは本当に誇りで、やって良かったと感じた瞬間がたくさんありました。

後半へ続く──

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Grace Bank(グレイスバンク)は、「女性が願うあらゆるライフプランが社会的制約なく叶えられる未来の創出」をミッションに、女性の医学的機能や妊孕性についての啓発活動を行いながら、みなさまに安心してご利用いただける「選択的卵子凍結」のプラットフォームを整備していきます。 ​